恵比寿物語

伊豆の空

2008年10月30日 18:42


学生時代
蔦のからまーるチャペールで

って歌うな~

31年前伊豆から一人の青年が
恵比寿の狭い下宿のような安アパートに
越してきた。
青年は19歳
何でも出来ると錯覚していたし、
何も出来ないと落胆もしていた。
そんな普通の不安定な青年だった。

彼は大学の法学部2年生
学校は水道橋のキャンパスの無い
味気ないビルの中にあった。
これから3年間通う学びの屋に彼は軽い絶望を感じていた。

恵比寿から代々木で総武線に乗り換え
水道橋まで約30分
この通学路が彼の日課となるのだった。

恵比寿といっても住所は広尾1丁目にあった
彼の下宿は「臨水荘」という6畳一間
半間のキッチン
トイレは共同
もちろん風呂は無い。
電話は管理人さんの所にあり、
電話が入ると各部屋にあるベルが鳴り
そのベルが電話が来た事の合図で、
管理人さんの所まで行って電話を取るのだ。

勿論彼の時代に写真のような近代的な
駅であったはずは無い。
恵比寿の東口は暗く、
裏口の感があるあまり人の寄らない改札口であった。

とにもかくにも彼の人生の中でも短い
東京での学生時代はこうしてはじまった。

つづく

伊豆の空より

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