45年生きた弟

伊豆の空

2009年11月12日 00:13

兄弟とは一体何だろう
親の下ではライバル
世間に出れば血を分けた
心強い最高の仲間
心離れれば厄介な仲間
それでも体の一部のような
共有感はなんだろう???

兄弟・・・
見えない糸で結ばれた
物言えぬ身体を宿した共存感

兄弟・・・
失って気づく喪失感

干武陵の「勧酒」(酒を勧む)井伏鱒二和訳
「この杯を受けてくれ
 どうぞなみなみつがしておくれ
 花に嵐の喩えもあるぞ
 さよならだけが人生だ」

それを寺山修二さんはこう帰している

さよならだけが人生ならば
    また来る春は何だろう
はるかなる地の果てに咲いている
    野の百合は何だろう
さよならだけが人生ならば 
    めぐり会う日は何だろう
やさしい やさしい夕焼けと
    ふたりの愛は何だろう
さよならだけが人生ならば
    建てた我が家 なんだろう
さみしい さみしい平原に
    ともす灯りは何だろう
さよならだけが人生ならば
    人生なんか いりません


人は必ず死にます。
先にも何度も語ってきました。
人は死に、
残った者は先に行った者を心に残す。
ですから死んだ人と常に心は繋がっているのです。
それは生きている時より
絆深く常に想っている。
それは心安らかに
さよならとは無縁です。

そう、
さよならだけの人生は
さよならだけじゃありません
さようなら
その絆
それは強く、鋭く、奥深く
心の隙間に入り込み
僕の心を覆います
花に嵐の例えもあるぞ
さよならだけが人生だ

寺山修二さん
さよならの向こうにあったやさしさは
人生よりも重かった
だから人生は面白い
きっとそう思える明るい
あしたがやって来る
それを信じて
僕は生きる

伊豆の空から

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